たとえば一枚のポスターや一本のCFが時代の空気を切り取り、その時代のシンボルになりえた時代が確かにあった。 1961年、サントリーが打ち出した「トリスを飲んでハワイへ行こう!」キャンペーンは、大ヒットとなり日本全国でトリスウィスキーが15億本売れたという。海外旅行が庶民にとって憧れの時代に、宝くじのような「夢」を与える広告だった。コピーを書いたのは、後に作家となる山口瞳。僕はリアルタイムでは4歳だから、キャンペーンそのものの記憶はないが、柳原良平のイラストと、渋い歌のCFはその後も長く続き、覚えている。うちの親父が毎晩飲んでいたのもサントリーだった。 70年代は、学生運動がつぶされて、みんなのベクトルが宙ぶらりんになっていて、振り返ると、挫折感を味わい首をうなだれた男たちの前に、すっくと強い意思を持つ女性たちが立っていた。広告では流通業界が元気で、特にパルコのポスターやCFは女性の自立を促
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