名称の起源 16世紀前半、フェルディナンド・マゼランの航海に同行しフィリピン諸島を探検したアントニオ・ピガフェタは、その航海記にセブ島の原住民の言葉を記録していますが、その中に短刀を意味するcalix (カリス)という言葉が収録されています。 フィリピン大学の人類学教授、フェリペ・ホカノはスペイン統治時代の文献を調査した結果、このカリスという言葉は短刀そのものを意味するだけでなく、刀を操る技術をも意味したと述べています。日本で「剣の達人」といえば「剣術」の達人を意味したのと同じで、フィリピンでも「カリスに秀でている」といえば「刀を操る技術」に秀でていることを意味しました。またホカノによれば、カリス(kalis)の末尾の「s」が脱落して「カリ」と記述された文献もいくつか見られるそうです。 しかしながらこの「カリ」という言葉がフィリピンにおいて武術の名称として使用されたことは一度もなく、スペイ