「依存症」専門の精神科医・松本俊彦さんインタビュー【前編】──「薬物を手放すために必要なのは、刑罰ではなく治療と支援です」【GQ VOICE】 昨年、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した『誰がために医師はいる クスリとヒトの現代論』の著者である松本俊彦さんに、「依存症」の現在とその向き合い方について訊いた。その前編。 松本俊彦さんは、依存症を専門とする精神科医だ。自殺予防や依存症治療に携わってきた半生をつづった『誰がために医師はいる クスリとヒトの現代論』(みすず書房、2021)は、昨年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。依存症というと、いまだに覚醒剤などの違法薬物やアルコールなどが想起されがちだが、この数年、実情は変わりつつあるという。また、多くの依存症者は、快楽への欲求ではなく、仕事や学校、家庭内での生きづらさやこころの問題を自力で乗り越えようとした結果、依存症に陥っている。依存症と