スイカを食べると「夏だなー」と思う。そして、一瞬にして子どもの頃の記憶がよみがえる。 …夏休みの一日。実家の居間で、蚊にくわれた足を掻きむしりながらナイターを見る。目の前にはスイカの山だ。さっき夕食をあんなに食べたのに、まだ食べるのか。 「塩は?」「いらなーい」「蚊取り線香、付けてよ」「はーい」「おまえスイカの食べ方が贅沢だよ」「え?」 (記憶戻る)…そうだった。白状しよう。実はスイカの食べ方が昔から贅沢だ。ちょっとでも果肉が硬い部分にさしかかると、もう食べたくなくなる。だって味がしないんだもの。青臭いし。 あの白い部分。なんとかならないものか。 (高瀬 克子) ウリ同士 スイカの白い部分をなんとかしたい、と考えたのには理由がある。夏は、スイカよりも冬瓜が好きでよく食べるのだが、皮を剥きながら「これってスイカの仲間だよな」と思ってしまったのだ。 いわば「スイカの白い所だけ」とも受け取れる冬