労働法制の改革は誰のためにあり、誰の利益となるのか──。経済財政諮問会議民間議員として“労働ビッグバン”を推進する八代尚宏・国際基督教大学教授は、大多数の労働者にとっての利益を最大化するものであると主張。大企業やその労働者、労働組合といった“既得権者”を守ることが目的ではないと断言する。その真意を聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン副編集長=水野 博泰) NBO 今回の労働法制の改革では、“残業代ゼロ法案”と呼ばれるホワイトカラー・エグゼンプションが論争の的になっていますが、これは全体の一部に過ぎないのであって、改革の全体像については多くの人にうまく伝わっていませんね? 八代 残念ながら、全く伝わっていないですね。 かつての金融法制は、銀行法、信託法、証券法といった業法がばらばらに規制をかけていて、全体としての整合性が取れていなかった。それを根本的に見直して金融市場の共通ルールを作