扇動者 キューバのカストロ前議長やアルゼンチンのペロン元大統領と同列に論じられるまでになっていたチャベス Jorge Silva-Reuters 独裁者にふさわしい別れの光景だった。赤いベレー帽をかぶった数万の市民が、国旗に包まれたひつぎをひと目見ようとひしめき合う。ひつぎの主は、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領(58)。赤いベレー帽は、癌のために先週この世を去った彼のトレードマークだ。 ただの別れではなかった。赤い波にも見える人の群れは、中南米諸国を独立に導いたシモン・ボリバル革命を手本に「21世紀の社会主義」を掲げたチャベスが多くの中南米諸国を魅了した証左でもあった。 国民は嘆き、中南米の指導者は首都カラカスを訪れて弔意を表した。ブラジルのジルマ・ルセフ大統領はチャベスについて「偉大な指導者、天才、素晴らしい友人」と語った。 国民の間には、強烈なほど扇動的だった指導者が突然退場したこと