政府は、東京電力福島第1原発にたまり続ける処理水を24日に海洋放出することを決めた。だが地元漁業者らの反対は強く「関係者の理解」は得られないままだ。青山学院大の岸田一隆(いったか)教授は、科学と社会をつなぐ「科学コミュニケーション」の問題を指摘する。【聞き手・高橋由衣】 処理水の海洋放出を巡る問題は、どう解決すればいいのか。有識者に聞いた。 上=処理水放出、科学的根拠だけでいいのか 二極化する原子力の賛否 青山学院大・岸田一隆教授 中=処理水放出の反対理由は風評被害だけではない 苦しい立場の漁業者北海学園大・浜田武士教授 下=復興は福島だけの問題なのか 処理水放出めぐる政府の姿勢に疑問 千葉悦子・福島大名誉教授 福島第1原発の廃炉に伴って出る汚染水を、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で処理すると、ほとんどの放射性物質は国の基準値未満まで取り除ける。しかし、唯一残ってしまうのがトリチウ