◇対応に忙殺される職員 引き取り手ない遺体の骨拾う「おくりびと」まで 「今はまだ復興・復旧ビジョンを示すことはできない緊急対応期なんです。暗闇の中で、年内をひと区切りに『暗中八策』をまずやりたい」。福島県浪江町の馬場有(たもつ)町長(62)は、同県二本松市役所東和支所で、坂本龍馬が船中で起草した新国家構想「船中八策」になぞらえて、8項目の対策を記者に語った。 「東京電力が原子力損害賠償の相談窓口を設けているが、町独自の窓口を創設する。東電と町民個人の協議になると負けるので、行政が中に入って弁護団を結成しないといけない」「全国に拡散・避難している住民のきずなを強めないと。各避難所への情報伝達と仮設住宅の自治組織の強化をする」 どれも具体的だ。 浪江町は、福島第1原発の北西約31キロの赤宇木地区で累積線量30・68ミリシーベルト(17日現在)を観測するなど、北西方向の高濃度汚染をまともに被った