日本語は奇跡の言葉:水村美苗(小説家)(1) 2009年2月20日(金)09:00 取材・構成 尾崎真理子(ジャーナリスト、読売新聞文化部記者) たとえ世界経済が多極化へ向かおうとも、「英語」という文化の“貨幣”はますます一言語だけ強くなる。日本語、ならびにフランス語やドイツ語、ロシア語さえも、21世紀を生き延びていくのは難しい――。そう予言する作家・水村美苗さんの評論『日本語が亡びるとき』(筑摩書房)をめぐって、盛んな論議が巻き起こっている。 いずれは英語を第二公用語とするために、日本は国民総バイリンガル化をめざして、英語教育を強化すべきか、あるいは「国語」を固守すべきなのか。それにしてもなぜ、多くの日本人は、かくも英語が苦手なのだろう……。 さまざまな難題に、豊富な学識と異文化との狭間に立った体験から答えを示しつつ、水村さんはインターネットによって加速する文化のグローバリズ