クサナギ容疑者の事件については、ご案内の通りだ。賢明なる読者諸兄は、細かい事情についても、既に大筋を把握しておられることと思う。なにしろ大騒ぎだったから。 一夜明けて、詳細が判明してみれば、なあに、たいしたヤマではなかった。酔っ払いが裸で騒いだという、それだけの話だ。 仮に同じことをやらかしたのがそこいらへんの営業マンであったのなら、保護連行説諭の上釈放でおしまい、これにて一件落着の微罪だ。一晩留め置かれたところで、まず送検までは行かない。起訴なんてなおのこと。そりゃたしかに通報があった以上、警察官とて出動せざるを得ないだろうが、ふつう、逮捕に至ることはない。その程度の事例だ。 もちろん、身柄を貰い下げにやってきた課長にはアブラを絞られるだろうし、事務所に戻れば戻ったで、半月やそこいらは職場のオモチャになる。当然だ。あるいは、むこう一年か二年は、なにかにつけて当てこすりの対象になるかもしれ