民主党の鳩山由紀夫代表は9月7日、シンポジウムで講演し、温室効果ガス排出削減の中期目標について、「2020年段階で1990年比25%減」を表明した。中国やインドが削減義務を拒み、米国や欧州の動きも不透明ななか、CO2排出量が、世界トップの米国や中国の5分の1にすぎない日本(世界全体の4%)が突出して高い目標を掲げる意味はどこにあるのか。 既に世界最高水準の省エネ国である日本が90年比25%減を達成しようとすれば、企業も家計も著しい負担を負うことになる。企業は海外に移転し、ますます雇用は失われるだろう。しかも、そうやったところで、世界全体のCO2が減るかどうかわからない。「高い数字を掲げれば世界をリードできる」などというナイーブな姿勢で、国益と国益が衝突する厳しい国際交渉に臨めば、後世に大きなツケを回すことになる。 本稿は、麻生政権の中期目標発表以前のものだが(5月20日)、その指摘の重要性