〈文化変調〉第5部・ゆらぐ権威(1) 多様化する登竜門(1/3ページ)2010年11月27日11時50分 5月にあった「文学フリマ」。多くの文学愛好者が訪れた=文学フリマ事務局提供 昨年の東京国際ヴィオラコンクール。指揮者の左側が審査を受ける出場者=藤本史昭氏撮影 バスケットボールのコートが4面も入る会場に、長机がひしめく。並べられているのは小説や評論などの同人誌。約420組のサークルが持ち寄って販売しているのだ。 今年5月、東京・蒲田で文学の同人誌即売会「文学フリマ」が開かれた。2002年の初回の参加は80組ほどだったが、参加者も来場者も年々、増え続けた。10回目の今回は2千人以上が訪れた。 文壇への登竜門といえば、1970年代以降、出版社による公募新人賞が定着していた。文学を志す人たちにとって公募賞に応募することがデビューへの道だった。 だが近年、長く下火だった同人誌が活気を帯びている