東京電力福島第1原発事故で、周辺の1歳児の甲状腺被曝(ひばく)線量(等価線量)は30ミリシーベルト以下がほとんどだったとの推計結果を放射線医学総合研究所(千葉市)の研究チームがまとめ、都内で27日に開かれた国際会議で発表した。国際原子力機関(IAEA)が甲状腺被曝を防ぐため安定ヨウ素剤を飲む目安とする50ミリシーベルトを下回った。 甲状腺には放射性ヨウ素がたまりやすく、子供は影響を受けやすい。1986年のチェルノブイリ原発事故後、周辺では子供の甲状腺がんが急増した。 放医研の栗原治・内部被ばく評価室長らのチームは、事故直後に福島県内で実施した子供約1000人の甲状腺検査の実測値や、9市町村分のホールボディーカウンターによる全身の内部被曝線量、放射性物質の拡散予測を組み合わせ、各地の1歳児の90%の被曝線量を推計した。