絶妙のタイミング、誰もが待ち望む夢の実現…。大マスコミまで一杯食わせた森口尚史氏の虚言には、それなりの魔力があったようだ。iPS細胞から心筋の細胞を作り心不全患者6人に移植して成功したと聞けば、山中伸弥・京大教授のノーベル賞受賞の直後だけに「もう、そこまでいっているのか」と思ってしまうのも無理ない。 山中教授の研究は「安全性と効果を確かめた上で、患者に投与する準備を進めている」という基礎的な段階だ。何もわからぬ素人考えで、その時点ではむしろ数歩先を行く森口氏の方がノーベル賞ではないかと、瞬時といえども思ったことが恥ずかしい。まあ、とんでもない「詐話師」であった。 人間顔で判断してはいけないというが、テレビで見る限り、この人の風貌は胡散臭さが漂う。ニューヨークの会見では記者団に厳しく追及され、話せば話すほどボロが出た。会見場に「嘘発見器」を持ち込んでいたら、最初から最後までピーピー反応してさ