数学用語「function」は、中国語で「函数」と翻訳された。この語は日本にも輸入され、現在も日中で使われている(ただし現在日本では「関数」の表記が主流)。 この「函数」は、「function」に近い音の字を当てて作った語であるという説があるが、これにはいくつかの不審な点があり、戦後の日本で生まれた俗説であると思われる。 「函数」という語は音訳ではなく、「ある変数が含まれる」という19世紀半ばの数学界における函数の認識を踏まえて作られた言葉である。 目次 1.「函数」語の初出 2.「函数」音訳説 3.音訳説の不審点 3.1.音が異なる 3.1.1.子音の不一致 3.1.2.韻尾の不一致 3.2.他の用語は意訳である 3.3.近年の日本でしか聞かない 4.「函数」の本当の語源 4.1.「函」の意味 4.2.「function」の概念 4.3.原文の記述 5.まとめ 1.「函数」語の初出 「函