前編はこちら。 ●核心にアクセスできない二級エリートたちの罪 ──では、「物語」の作り手に、共通した特徴があるとすれば、それはなんでしょうか? 佐藤 一概には言えませんが、”二級のエリート”に多いのではないか、という気はしています。ものごとの舞台裏をある程度はうかがうことができるのだけど、核心情報にはアクセスできない。そこで真実を知って納得したいという欲求を満たすため、「こうであるはずだ」という結論へショートカットしてしまう。 ──ショートカットというのはつまり、検証の省略ということですか? 佐藤 省略の場合もあれば、回避や怠慢の場合もあると思います。今の世の中、私たちの身の回りには、膨大な情報と知識があります。教育を受けているから、論理的な思考もできる。その気になれば、疑問点をひとつひとつ丁寧に詰めていくことはできるんです。ところが場合によっては、相当な時間がかかることがある。労力もかか