「一律10万円」が呼び覚ますベーシックインカム待望論の危険 ポスト・コロナはポピュリズムか健全な共同体主義か 森信茂樹 東京財団政策研究所研究主幹 1.社会思想の変化 長期化予想からわれわれの生活様式が大きく変化せざるを得ない新型コロナウイルス問題だが、ポスト・コロナの世界では、経済社会思想にも大きな変化が予想される。 米国では、これまで小さな政府を信条としてきた共和党が、コロナ問題への対応を機会に変質しつつある。トランプ大統領の提案した2兆ドルの国債発行を伴う経済救済パッケージを、共和党が駆け引きなく承認したことがその一例である。 背景には、国民全員の生活を直撃したコロナ禍を前にして、財政赤字を抑え小さな政府を標榜してきた伝統的な共和党も、選挙を控えてトランプ・ポピュリズム、大きな政府を支持せざるを得なかったという事情がある。この動きは共和党の性格自体を変える可能性がある。 英国ではボリ