かつて養蚕で栄えた下條村。ピーク時には6500人の村民がいた。だが、昭和50年代になると、養蚕は衰退。沈没船から逃げ出すように、1人、2人と村民が減り始めた。村民の減少は村の活力を失わせる。ガソリンスタンドを経営していた伊藤氏は村民の減少をくい止めようと、役所や議会に掛け合った。 だが、人口減少に妙案はなく、時間ばかりが過ぎていった。業を煮やした伊藤氏は自分で変えるしかないと、1992年の村長選に立候補した。その時に掲げた公約は「人が増える村」。そして、当選した伊藤氏は“村民倍増計画”を実行に移した。 「村民増」の第一歩は行財政改革 最初に取り組んだのは財務体質の強化だった。どんな政策を打とうにも、十分な予算がなければ何もできない。ただ、いきなり歳入を増やすことは難しい。ならば、支出をカットすることで自由に使える予算を捻出しようと考えた。そして、実行したのが職員の意識改革である。 民間企業