「テロリンを殺せ!」ラジオからは戦意高揚のメッセージが四六時中流れ出す。テロリンっぽい子どもをいじめるテロリンごっこが流行する。テロリンっぽい行動をした奴は民衆のリンチでぶち殺され… 「テロリンを殺せ!」ラジオからは戦意高揚のメッセージが四六時中流れ出す。テロリンっぽい子どもをいじめるテロリンごっこが流行する。テロリンっぽい行動をした奴は民衆のリンチでぶち殺される。いつ終わるともわからぬテロリストの襲撃に、民衆は疲弊し、次第に狂気の度合いを高めていった。肉体労働者の椹木武は病気の妻子を養うため、愛人を買春宿で働かせて稼ぎを搾取していた。小柳寛子は椹木のために、狂った客たちに弄ばれ続けていた。やぶ医者の斎藤良介は、今日も手術に失敗して一人を殺した。麻薬密売人の土門仁は浮浪者たちを薬漬けにしていた。素人画家の井筒俊夫は、売春宿で抱いた小柳のあとを尾け回していた。そして遂に最大級のテロが発生した
![『バースト・ゾーン―爆裂地区』(早川書房) - 著者:吉村 萬壱 - 豊崎 由美による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/4c55e46d46236f293e34eab5959c4a4be3f71b64/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fallreviews.jp%2Fapi%2Fimage%2Fcontain%2F1200x630%2Fhttps%3A%2F%2Fimages-fe.ssl-images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51YJ1B7ANWL.jpg)