作曲家の宮川泰はザ・ピーナッツのために書いた「東京たそがれ」という曲が、実はあまり好きでなかったという。 最初にこの曲を作り始めたときは、とにかく暗いメロディでしょ? 作っていてどんどん悲しくなっていくのね。 だから最初は自分ではあんまり好きじゃなかったんです。 だが新曲としてレコーディングすることになったので、越路吹雪のマネージャーだった岩谷時子に作詞してもらった。 岩谷時子とはザ・ピーナッツの「ふりむかないで」(1962年)でもコンビを組んで、オリジナルソングとして初のヒット曲を出している関係にあった。 やがてメロディ譜に合わせた歌詞を受け取った宮川は、その名人芸ともいえる出来栄えに驚かされる。 岩谷さんに詞をお願いしたら、これがじつに雰囲気のいい曲になって帰ってきたんですよ。 岩谷さんってね、先にできたメロディに詞を付けることにかけては名人なの。 本当にピタッと、無理なく、キレイに詞