【連載主旨】 多事「創」論 「自由の気風は唯(ただ)多事争論の間に在りて存するものと知る可し」「単一の説を守れば、其の説の性質は仮令(たと)ひ純精善良なるも、之れに由て決して自由の気を生ず可からず」。世の中は一つの考えでまかり通っている訳ではない。多様な意見こそが決められた道のない今の時代を生きる我々にヒントを与えてくれるはずだ。福澤諭吉が唱えた自由の気質になぞらえ、広く多くの意見を集めて現代社会の課題を考えていきたい。 慶應義塾長 清家篤氏 変化と国際化の時代 現代に生きる建学の理念 大学の社会への貢献は学問によって人を育て、社会に叡智を与えることだ。慶應義塾は自分の頭で考え、国際的な視野でものを見ることができる人材を輩出したいと考えている。 今の社会の特徴はひとつには大きな変化の時代だということ。地球環境問題や少子高齢化など、我々が住む社会の持続可能性そのものが問われている。その問題が