「日本の原発は絶対に安全」「事故などあり得ない」などという言論が保守の中に横溢していた時期である1986年に書かれた西部邁さんの言説の抜粋です。 最近では、保守の中で、西部邁さんに私淑している中島岳志さんが「原発に反対」との意思を表明していますが、当の西部邁さんは、原発反対ではないであろうながらに、25年前に「保守」派のど真ん中にいながら、既に氏独特の思想のバランスバーを以て平衡感覚ある言明をしておられました。 西部邁『批評する精神』(1986年) (前略)それにしても、チェルノブイリにおいて技術そのものの悪魔性をみないような論評は、というよりも技術への楽観論に淫する人間というものの児戯性をみないような論評は皮相に過ぎる。 広瀬氏のいうように原発において「日本こそがメルト・ダウン直前にある」のかどうか、私には不分明である。しかし、わが国だけが原発の安全神話の動揺なり崩壊なりから自由でおれる