アメリカ合衆国の大統領府をなぜ「ホワイト・ハウス」と呼ぶかといえば、それはごらんの通りメインの建物が白く塗られているからだ。白く塗られるようになった理由も、昔から何度も語られる。 第二次独立戦争とも呼ばれる米英戦争(1812-1814)の際、英軍はワシントンを陥落させ、合衆国の政府関連施設は皆丸焼けになり、それは大統領府も同じであった。再建の際に、残った石作り外壁の焼け焦げを隠すため、白ペンキで塗りたくったのが由来なのだと。 ところが、この皆が知っているつもりの常識は、実は神話なのだという。Wikipediaの米英戦争の項目には「大統領官邸を改修する際に、このときの焼け焦げを隠すために真っ白なペンキを塗ったことから、大統領官邸はホワイトハウスと呼ばれるようになった」と書かれているが、「ホワイト・ハウス」の項目をみると、この説を紹介した後、「これには異説があり、現存する “White Hou
2006年12月12日 六甲山・死の彷徨 [ニュース] 古館伊知郎のニュースショーを見ていたら、10月に六甲山で遭難して、3週間行方不明だった人の話を報道していた。なんでも、この人は「職場の同僚とバーベキューをしたあと、1人で山を下りる途中に転落し、骨盤を骨折して動けなくなっていた」が、バーベキューに使った残りの焼き肉のタレを栄養源にして、3週間を生き延びたのだという。Link> この人は同僚とロープウェイで一緒に降りるはずが、切符を紛失していて、1人徒歩で六甲山を降りようとしていて途中で転落したらしい。そんな事情までわかっているのに、なんで同僚たちは3週間もそれを放っておいたのだろう。あの六甲山で、捜索していたのに見つからなかったというのは考えにくく、その辺の事情はどうなっているのかというのが関心になるのは当然なのだが、ニュースは全くそのあたりには触れず、持っていたエバラ焼肉のタレのお
12月16日発刊のBMJ最新号掲載論文。米国と同様、英国も深刻な肥満問題を抱えており、それを解決するため、グラスゴー大学の代謝医学専門家、ナビード・サター教授が政策的なアイディアをまとめたもの。直接論文内容は読めないので、それを取り上げた新聞記事を紹介。 サター教授によれば、英国国民の半数以上は体重オーバーで、5人に1人は病的肥満といえるらしい。肥満者は健康リスクが高く、医療費を全体で9%上昇させると見積もられるという。肥満を解消するためには個別的対応だけでは十分ではなく、政策的な対策が早急に必要だというのが教授達の主張である。 彼らがまず唱えるのは、すべての食品製造業者にカロリー表示を義務化すること。これは、レストランメニューやスナック、ケータリングサービスで提供されるものも同様。次ぎに、郊外に道路を作る時にはかならず自転車専用レーンを作ることを義務化する。そして、住宅地開発の際には、ス
2006年12月21日 不法入国外人=サンタクロースを排除せよ! [都市伝説・デマ・トンデモ, ウェブサイト] nosantaforhazleton.comより。ここはペンシルバニア州ヘイゼルトン市の広報サイトといった作りで、連絡先は市長オフィスになっている。(以下トップページより) 皆様をこの街のゲストとしてお迎えし、精一杯のおもてなしを提供できるのは、この上ない栄誉であります。 このウェブサイトはヘイゼルトン市が不法外人労働者を排除するための砦として、出来る限りの努力を注いでいることの象徴であると、きっと皆様にも気づいて頂けるでありましょう。 そして皆様もまた、サンタクロースはアメリカ国民の主流をなす道徳に反しており、どこでも受け入れられない存在だということに同意して頂けると信じております。 このサイトの目的は様々です。まず、市の住民に本来のクリスマスの伝統に対する認識を新たにして、
「気遣い続けてきた大切な人と、いつまでもそばにありたいという欲求は、人に固有なものです。私たちは、亡くなった人々の思い出を保つ方法を、いくつか知っています。髪の毛、手紙、古い写真。そして、いまブレス・キャプチャーが登場したのです。愛した人々や友人たちの呼吸を、永遠に封入するために」。 そんな文句で始まるのが、故人の思い出を残すため、その息を保存するブレス・キャプチャーなるガラス管を販売しようという企業のウェブサイト。 同社によれば、「人間が吐いた息というのは、単なる空気ではなく、その人が笑い、泣き、囁き、叫び、歌い、ため息をついた証なのだ」とのこと。 「ブレス・キャプチャーは、ともに暮らしてきた故人の思い出を取り戻す強力な手段となるのです。呼吸は単なる記憶ではなく、その人が生きた標です。それを身につけている限り、故人は常にあなたとともにあるのです」。 同社のラインアップには、呼気封入カプセ
2006年12月18日 なぜ若者はバカなことをするのか? [医学・科学関連] コーネル大学のプレスリリースより。9月に発刊された雑誌、「公的関心における心理的科学」誌に掲載された論文、「思春期の行動決断にみる危険と合理」の紹介。 論文(PDF)自体は50ページに及ぶ長大なもので、それが無料公開されているという気前の良さだが、残念なことに私にとっては、モーツアルトの全楽譜公開とそう意味の違いはないので、安直にプレスの紹介だけをしておく。言い訳するなら、一応とばし読みだけはしたんだが。 --------- 喫煙、薬物使用、防御手段を使わないセックス、泥酔運転の車に乗り込むなどの十代の青年たちが見せる愚行は、自分たちが不死身だと思っていたり、危険とは無関係だと思っている故ではないのだとコーネル大の研究結果は告げる。 実際、十代の若者たちは危険について、むしろ大人たちよりも時間をかけて(約1
来る12月1日からカタール・ドーハで開催されるアジア競技大会では、トライアスロンやトランポリンなどと並んで、チェスが新競技に加わるそうだ。 日本からも中川笑子選手を筆頭に3名の選手が参加という新聞記事を読んで、へぇあのショコタンにそんな一面がねぇと、かなり驚いたのだが、単なる同音異字の方でした。65才のベテランだそうで。 地元ドーハでは、写真のような大広告塔まで作って開催の日を待つ盛り上がりを示しているそうな。そんな中、世界チェス連盟はこの公式競技化を受けて、競技選手のドーピング検査規定を定め、実際にアジア大会期間中から、検査を実行することを決定した。 ただし、ロイター報道によれば、肝腎のドーハ大会のチェス競技オフィシャルには、どんな薬物を検査対象にすればいいのかが全く知らされていないという問題があるのだそうだ。 競技管理責任者のユセフ・アーマッド・アリ氏はこう語る。「私にはどんな薬物がチ
ウェブ上に自分のとった写真をアップロードして、アルバムを作ると言うサービスを展開しているところはいくつかあるが、そいつをタダでプリントしてくれるというところはあまり無いように思う。Link> タダのものには目のない私なので、個人情報漏洩の危険も顧みず、早速登録する。なんか、えらくどうでもいいことを延々と聞かれたような気もするが、ほとんどデッチ上げの仮想人格を書き入れておく。銀行口座番号とか、カード番号は聞かれなかったのでよしとしよう。 30枚ほどの画像をアップロードし、それをプリントしてもらうようにしたら、数日たたずに写真が送られてきた。タダでプリントして、送料も向こう持ちで送ってくれるには理由があるわけで、写真にはちゃんと広告が入るのである。 30枚のプリントのうち、小さなワンポイントロゴがはいるのと、画面の半分がCMになっているのが半分半分になっている。操作はかなり面倒ながら、ロゴとハ
2006年11月16日 アーティストの自殺は公的利益 [医学・科学関連] 11月14日のガーディアン記事より。 英国ブラッドフォード大学の経済学教授、サミュエル・キャメロン教授たちのグループは、1994年に自殺した、ロックグループ「ニルバーナ」のリードボーカル、カート・コベインのケースから、「経済学的観点からみたアーティストの自殺の経済的効用」を検討した。こちらが元論文抜粋(例によって有料の壁で元論文自体は読んでいない)。 彼の死以後、その偶像的効果によって、彼の音楽関連商品の売り上げは明らかに増え、彼の妻であったコートニー・ラブやそのバンドメンバーへの注目度も増加した。 カート・コベインは27歳で死んだが、一般的には若死にとされるその年齢も、ポップスターとしては高齢に属することから、彼がそのまま自殺せずに引退年齢まで活動していた場合の経済効用の総体は、明らかに自殺した場合より低いと推定
2006年11月13日 デブでチビだとデートの機会がすくない [医学・科学関連] コーネル大学で医療経済学を専攻するジョン・コーレイ助教授を主著者とする論文、"Size Matters"の要約(例によってお金がかかるので、全文は読んでいない)。我々は思春期少年・少女たちの身体のサイズ(特に体重・身長)と、デート行動、及びその際の性的活動の関係性について、全国から二つの大きな調査集団を経時的に取り出して検討した。我々の概念的枠組みは、思春期少年少女たちがデートやその性的活動を享受する頻度は、そのパートナーたちの体重と身長によって構成される関数になるというものだ。 従って予想される結果は、体重が重く、背が低い少年少女はデートやセックスと縁が遠いということになる。 少年少女たちの経験の調査からは、体重が重く背の低い少年少女たちは、デートの機会はすくないことが確かめられた。デートに関していていえ
2006年11月15日 Retired husband syndromeあるいは「主人在宅ストレス症候群」 [医学・科学関連] 先々日のBBCワールドニュースに、日本からの報告として"Retired husband syndrome(RHS)"という記事が掲載されていた。まず簡単に内容を紹介してみる。Link>日本では60%の中高年女性が同じような問題に悩んでいると考えられている。その問題とは、彼女たちの夫である。何年もの間、「仕事と結婚していた」男性たちが引退する年齢に達したことが、その配偶者たちに深刻な影響を与えているのである。記事は続いて、狭いアパートをテディベアであふれさせ、その世話で一日を過ごし、RHSを克服している一女性を紹介している。彼女たちの病理は、配偶者を付属品として扱ってきた仕事中毒の夫たちが引退し、目的を失って終日家にいることが引き起こしたものだというのだ。 これが
2006年11月08日 ニセ神父・牧師はいい商売 [ニュース] 11月2日のBBCニュースより。 ---------- マーク・ケリーは英国ランカシャーの出身。日本に来てもう6年になるが、週末はニセ牧師として過ごす。彼はいう。「ボクは札幌に住んでいて、日本語の勉強をしているんだけれど、やっぱお金は欲しいわけよ。英会話学校で教えるより、ニセ牧師をやる方がよっぽど実入りはいいからね」。 「日本ではニセ牧師は結構なビジネスなんだよ。ボクはそれを扱う会社のTVコマーシャルに出ているんだ。札幌では5つのエージェンシーが20人のニセ聖職者を雇っているんだけれど、東京だったら数百人はいるんじゃないかな」、彼はそう付け加える。 外国人によるニセ聖職者は、日本のいわゆる「洋式婚礼」に雇われ、それ風のパーフォマンスを行うことで雰囲気を盛り上げるが、それは正式な儀式ではない。「日本では神道による婚姻儀式が
2006年11月02日 同時多発テロ……? [日常] いい加減に仕事を片付けて、3連休じゃ3連休じゃと足取りも軽く最寄り駅にたどり着いたところ、「人身事故の影響で電車が遅れております」とのアナウンスである。50分ほど遅れてやってきた電車も、なかなか駅を出ようとせず、発車したのは結局1時間遅れ、しかも何度か「信号待ち」で立ち往生するのである。 「人身事故」だと何度も告げられる割には、一体どこで何があったのかがさっぱり判らず、まあ、判ったからといってもどうなるわけでもないのだが、やはりそのあたりは「納得」というものが欲しいのは人の常。そこで、普段は決して使わないiモードなどでニュースをチェックしてみるが、武蔵境あたりで昼過ぎに飛び込みがあったことが告げられているだけ。 山手線にようやく乗換え、車内の電光表示を見ると、近郊線から都心部路線全てに、「人身事故の影響で」というのと、「線内立ち入りの
2006年10月22日 「世界観」判定テスト [ウェブサイト] 最近「ゲームストーリーの背景設定」という、妙な意味がまかり通る「世界観」という言葉であるが、ここで使っているのは当然、「世界全体に対する統一的理解」という本来の意味である。 つまり、主体が世界をどう価値付け、どのような契機でそこに関わるのかという問題であって……、などと言い出すとなんだかよく判らなくなるが、少なくとも西欧人にとっては、世界は唯一神によって創造されたものだという前提を受け入れるかどうかというのは、はっきりさせておかないといけない点らしい。 そんなわけで、少々矮小化された面もありつつ、もっぱら創造論と進化論の対立をメインにして、その「世界観」をチャート化してくれるサイトがこちら。24の質問に答えることで、進歩主義傾向と科学的価値観をX軸・Y軸にしたグラフに、その人の位置を示してくれる。 最初に示したのは、こちらの
2006年10月16日 精神科看護における危機回避法 [医学・科学関連] 二日間風邪で寝込んで、ちょっと楽になると枕元のノートPCをのぞく生活。どんなきっかけだったかは忘れたが、かなり面白い精神科看護学関連の論文を見つけたので紹介。 題して、「危機離脱技法―差し迫った身体的攻撃への対処」(PDF)。静岡県立大学短期大学部第一看護科助教授吉浜文洋氏他によって書かれたものである。本論文は、精神科病棟における患者の暴力事件をいかに防ぎ、実際に攻撃を受けたときにどのように対処するかを具体的に述べたもので、通り一遍の善意だの真心などという建前に終わることなく、原則論と技術論が巧みに配置された好著となっている。 精神科看護の枠内で納めるには惜しいもので、家庭内暴力とか教育現場にも応用できるのではないだろうか。(左のイラストは落ち着かない患者さんに対して、3人の看護者が対処している場面。絵がなんとなく
2006年10月05日 しゃっくり治療に新発明? [都市伝説・デマ・トンデモ, アートとかグッズなど] しつこいシャックリというのは時々見られる訴えで、以前書いたことがあるように、なかなか効果的な治療法がないため、患者さんはもちろん、プロの側も困惑してしまうものだ。 この度、米国Hic-Cup社が世に問う新発明が、このシャックリを簡単に止めるというふれこみの"Hic-Cup"である。シャックリを英語でHiccupというので、シャックリ治療カップ="Hic-Cup"という訳である。なかなかのネーミングって、そのまんまやんけ。 これはステンレスのカップの内部から、絶縁された銅のロッドが上に伸びる形状をしており、使用時にはカップの中に水を入れ、ロッドを頬につけて飲むという行為だけでシャックリが止まるのだそうだ。一個約25ドル、3個同時お買い上げなら60ドルである。 米国特許庁への申請文書には、
2006年10月02日 リエイゾン精神医学の虚妄(1) [医学・科学関連] 5年ほど前、こんな文章を書いたことがある。 「リエイゾン精神医学、という領域があり、身体疾患治療過程での精神科合併症を取り扱うのだが、私はこの立場には極めて懐疑的である。身体科医師がちゃんとした対応すればよいので、おかしくなったらはいお願い、というのは例外的であるべきだ。しかも、大概の紹介患者は本来の治療へのちゃんとした説明など受けておらず、漫然と抗不安剤が処方されているだけだったりする。病院管理者の立場なら、根本的な対処ができるかもしれないが、一診療分野として対応しても、アリバイ的かかわり以上のものにはまずならないと思う。」(2001年10月15日の日記から) なんで突然昔の文章なんぞを引用したかというと、この「身体疾患治療過程での精神科合併症」というものが、何のことはない医療の手抜き、医療関係者のサボりと鈍感
2006年09月23日 「世界初」ペニス移植の顛末 [医学・科学関連] 掲示板で、「世界初のペニス移植手術」について触れたブログ記事を教えて頂いた。中国・広東の外科医が世界初の陰茎移植手術に成功したものの、二週間後に「患者とその奥さんに深刻な心理的問題が現れたため」、移植された陰茎は切除されたというものである。21日にはかの「東京スポーツ」までこれを扱い、そちらでは「奥さんが『他人のモノじゃイヤ!』と拒絶反応?を起こした」というニュアンスで報じられていたという。 まあ、移植に成功したのに、「心理的問題」で切除したといわれれば、そういう風な想像をするのも当然なのだが、それ以前に「ペニス移植なんて、現実的に可能なのか?」という疑問がわいてくるのも事実。そんなわけで、元論文を検索してみたら、そう苦労もなく見つかったので流し読み。(HTML版、PDF版) それによれば、書かれてある手術の経過は、
2006年09月09日 警察と医療過誤 [社会・歴史] 当サイトは、あんまり具体的な社会問題には関わらないというスタンスなのだが、(何より、その能力に欠けるのと、妙な論議に巻き込まれたくないというのが主な理由)、この間、福島県での前置胎盤による死産事件での産科医逮捕問題をはじめとして、医療内容に関する警察の介入事例が意味なく増えていることについて、私なりの意見を述べておくべきであると思う次第。 私の意図は法律論的な論議ではなく、何故か誰も語らない「警察が医療過誤に過剰に関わる理由」を別の視点から示す事だけである。桶川ストーカー事件や秋田小児連続殺人事件に見られるように、出来るだけ面倒くさい事件に関わりたくない様子が見え見えの警察が、なぜ医療問題には介入したがるのか、真面目な議論ではあまり触れられず、かつ理解しにくい問題といえる。 私の意見は単純なものである。彼らは新しい「天下り先」を開発
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