「先生、ボクの変わる姿を見てください。今日から物語は始まります」 2008年11月13日、早稲田大学国際教養学部教授のカワン・スタントは「デジタル基礎技術」7回目の講義後にある男子学生が書いた感想文に、涙した。 「決して成績が優秀でもなく、授業の遅刻や欠席も多かった彼が、人生の主人公として『今日から物語が始まる』という素晴らしい言葉を書いてきた。諦めずに、投げ出さずに彼と向かってきたことは無駄ではなかった」。スタントは心の中で言葉を震わせていた。 毎回の講義の後に必ず学生に「3行感想文」を書かせるのが、学生の心に火をつける「スタント・メソッド」の1つだ。学生が講義で何を感じ、どう変化していくのかを自分の言葉で書かせる。 短い感想文から、彼ら彼女らがどのような成長を遂げ、またどのような助けを求めているのかを読み解く。それが、スタントが常に心がける、学生一人ひとりへの「ケアリング」につながるの