【ブリュッセル=井田香奈子】相次ぐ受刑者の逃走に頭を悩ませているベルギーの主要政党は、脱獄を罪とする刑法改正案の提出を決めた。19世紀にできた同国刑法は、フランス革命を背景とする仏刑法の影響から、「人類の自由への渇望は縛れない」として脱獄を犯罪としていない。しかし最近、大がかりな脱走劇が続き、黙認できないとの声が強まっていた。 7月29日付の地元紙によると、今年はすでに36人が脱獄した。特に注目されたのは7月、観光用ヘリコプターをチャーターした男女が操縦士を脅してブルージュ近郊の刑務所の中庭に着陸させ、3受刑者が逃げた事件だ。07年にもリエージュでヘリを使った脱走があったほか、ブリュッセル郊外では刑務官からかぎを奪い28人が逃げた。 現行法では、脱獄囚が逃走中にみつかっても、脱獄自体は罪に問われず、残りの刑期を務めればいいという。