アニメーション脚本家として多くのキャリアを積み、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などの作品で知られている、岡田麿里。監督デビューを果たした『さよならの朝に約束の花をかざろう』(2018年)に続き、監督第2作であると同時に劇場版の監督としても第2作となったのが、この度公開された『アリスとテレスのまぼろし工場』だ。『進撃の巨人』や『呪術廻戦』のアニメーションで知られるMAPPAと組んだオリジナル作品である。 もちろん今回も自身が脚本を書いた作品だが、その内容は現在の日本のアニメーション作品としては珍しく、非常に作家性が強いものとなっている。さらに、何やら謎めいている物語や、思わせぶりな演出には、ある種のざわざわとした違和感すら覚え、本能的に“問題作”だという印象すら与えられるのだ。この背筋をゆっくり撫でられるような異様な感覚は、どこからくるのか。ここでは、本作『アリスとテレスのまぼ