マンガは日本でもっとも先端を走っている娯楽だ。 というようなことをフランス文学者でマンガ評論家の中条省平教授がかつて仰っていた。「ニートという言葉が一般社会に浸透しつつあると思っていたら、ニートをテーマにしたマンガがすぐに登場した。しかしニートなる言葉が登場する以前から、古谷実はすでにニートの鬱屈を描いていたと思う……」とか。ちょっとうろ覚えだけれど、そんな感じ。で、私も深々とうなずいたものだ。 だが最先端を走る作品がある一方で、とんでもなくマンネリ、停滞、モラトリアムという言葉を当てはめたくなる作品もごろごろしているのもマンガの世界である。人気があるからという理由でいたずらにストーリーが引き伸ばされていたり、「次はわしじゃーい」みたいに新たな敵が現れて「強さのインフレ」が起きたり、広げた風呂敷を畳めないままむごたらしいラストを迎えてしまったり、キャラに人気が出ると、安易なスピンオフ作品を