林業を営む人、とくに山主や森林組合、伐採搬出などの業者と話すと、必ずと言ってよいほど、林業の現状に対する嘆きが出る。間伐が進まない、道がない、材価が下がった……そして「政府にもっと考えてもらわないと困る」「もっと補助金をつけてくれ」というところに落ち着く。 しかし、現実には作業にかかる経費の半分どころか7割8割ほどが補助金で賄われることも多く、数多くの衰退産業の中では手厚い保護が施されている方だろう。一方で需給バランスが崩れて材価が落ちたのなら地域全体で出荷調製するとか、木材市場に頼らず製材所や建築家と直取引を模索するなどの努力はほとんど行わない。 そんな状況をこの業界の素人に説明すると、たいてい驚く。そして「なぜ改革が進まないのか」という言葉が返ってくる。 そこで再び日本の林業界が陥っている自縄自縛的な問題点を説明すると、「林業は不況だと言っているけれど、実は林業家は困っていないのではな