中国や韓国を一方的に非難する、いわゆる「嫌中嫌韓」本とどう向き合い、どう考えたらよいのか。出版に携わる人々が東京都内でシンポジウムを開いて話し合った。「人を傷つける本を書店に置いていいのか」「対抗する本をきちんと出していくのが出版人の務めではないか」。さまざまな意見が出た。【青島顕】 多様な本選びフェア 「嫌中」や「嫌韓」というタイトルのついた本や雑誌は、沖縄・尖閣諸島の国有化(2012年)で日中関係が悪化し、在日コリアンへの差別や憎悪をあおるヘイトスピーチが活発化するのと歩調を合わせるように続々と出版され、全国の書店で目につくようになった。隣国を快く思わない人びとから支持され、増刷を重ねる本もあった。 やがて、こうした出版物に出版人が異議を唱える動きが出てくる。14年5月に河出書房新社の若手社員4人が、リベラルな立場の識者らに頼んで多様なジャンルの18冊を選んだ「今、この国を考える−−『