大阪市が大阪城の天守閣の隣に保有する“超一等地”の建物が、10年近く利用されないまま遊休状態になっている。2年前に平松邦夫市長がホテルやレストランなどとして民間に貸与する「政策推進ビジョン」の目玉施策として打ち出したが、世界的な金融危機を招いたリーマン・ショックの時期と重なり、民間は大型投資に慎重。市の思惑とは裏腹に、ビジョンは暗礁に乗り上げている。 ■中世ヨーロッパ城郭の外観 この建物は鉄筋コンクリート造りで地上3階・地下1階。中世ヨーロッパ城郭風の重厚な外観が特徴で、大阪市が市民から寄付金を募るなどして昭和6年に建設した。 戦前は陸軍第4師団司令部庁舎として、戦後は府警本部などとして使われた後、35年に市立博物館がオープンしたが、博物館機能の移転に伴い平成13年に閉館。建物の再利用が課題となっている。 平松市長は就任1年目の20年10月、建物を民間貸与し、ホテルやレストランなどとして再