要旨 大学と産業界との連携が活発になるにつれて、大学において企業との共同研究などの研究協力、大学のベンチャー企業への積極的な支援、あるいは教員の企業活動への参加などが増加している。このことは、社会も必要としており、大学として対応する必要がある。その一方で大学は社会的には、教育や研究を行う組織であり、活動から生まれる成果は、社会に広く還元されるということが求められてきた。産業界との連携により、本来大学が期待されている役割に対する疑念をもたれることは避けなければならない。そこで、公共財としての大学の存在と産業界との連携のバランスを保つには、利益相反のマネジメントが必要となる。 米国では、研究資金を提供する連邦政府による規程や州政府の規程をベースに大学関係団体によるガイドラインなどを参考にして、大学で規程を作成し、利益相反のマネジメントを行っている。大学の規程は、制定の目的、定義(利益相反が生じ