著作権法第30条が,私的録音・録画を自由かつ無償であると規定したのは,立法当時(昭和45年)私的録音・録画は著作物の利用としては零細なものと予想されたためであるが,報告当時(平成4年)には,私的録音・録画は広範かつ大量に行われており,かつ,デジタル技術の発達普及によって質的にも市販のCDやビデオと同質の高品質の複製物が作成され得る状況にあった。 こうした状況は,著作権者等の利益を害している状態であり,デジタル化の進展によっては「通常の利用」に影響を与え得るような状況も予想される。 先進諸国では私的録音・録画について何らかの補償措置をとることが大きな流れとなってきており,これはベルヌ条約との関係でもなんらかの対応策が必要であることを示している(注1)。 以上の点から,我が国においても制度的措置をとることが必要である。