ウイルスをテーマとしたサイエンス・エッセイだ。取り上げられているのはタバコモザイクウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、バクテリオファージ、ヒト免疫不全ウイルス、天然痘ウイルスなど13種のウイルスである。それぞれのウイルスのカラー電子顕微鏡写真が付いていて1500円。1ウイルスあたり115円ちょっとだ。考えようによってはじつに安い買い物なのだ。 最初のテーマはタバコモザイクウイルなのだが、それに先立ってウイルスとは何かについて意外な方法で理解させてくれる。著者がまず取り出したのはメキシコにある「巨大結晶の洞窟」だった。 写真の左右に見えるオレンジ色の物体は人間である。結晶化している鉱物は透明石膏だが、気温は58度を超え、湿度は100%近いため、宇宙服のような装備で調査しているのである。ともかく、この人類どころか、すべての生きものから隔絶した洞窟からウイルス学者は水のサンプルを取
![『ウイルス・プラネット』生物界のイノベーター - HONZ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/259d266a10a0dc1a10910a2769c9bc98fd9f5e9b/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages-fe.ssl-images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51NuWeUDzCL.jpg)