こんなすごい本を読んでいなかった自分に驚き、今日まで悦びを残して下さった神に感謝します。 識字能力が人間の思考様式に与える変化と、「一次的な声の文化」(文字獲得以前の言語世界)における語らいと思考・記憶の特徴についての、冒険的でありながら十分な考証に基づいた試論。素晴らしくエキサイティングです。 「二次的な声の文化」(テレビやラジオなど)や、例えばインターネット上の文字交流文化については、言及が少なく、著者自身も「今後の研究が待たれる」とするに留めていますが、多くの紙数の割かれた「一次的な声の文化」の思考様式に最も興味があったため、まったく気になりません。 あまりにも面白いので、何回かに分けて取り上げてみたいのですが、実は既に、「音読すべき聖典、カルトと識字能力」が本書を読んでいる途中で思いついて書き留めたものでした。アラビア語圏の例についてほとんど言及がないのが寂しいですが、長年ひっかか
![『声の文化と文字の文化』ウォルター・J. オング](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8a8f894cfb05049569653e108e3b8ed652bcbccb/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51k-Bp4Y9yL._SL160_.jpg)