24日に亡くなった京都大名誉教授で評論家の森毅さんは、さまざまな時事問題への機知に富んだコメントで親しまれた。切れ味の良さから、京大時代は「一刀斎」の愛称で人気を集めた名物教授。評論活動では「ええんちゃうの」を決めゼリフに、世の中がヒートアップする出来事にも飄々(ひょうひょう)と応じた。家族によると、昨年の大やけど以降はほとんど寝たきりだったが、6月の菅直人首相誕生には「へえー」と感嘆の声。この短い言葉が最後の「評論」となった。 京大で物理学を学んだ父、宝塚歌劇ファンで文学少女だった母との間に生まれた一人っ子。大阪府で過ごした少年時代、両親の本を読みあさり、シェークスピアはほとんど読破した。北野中学(現府立北野高校)での成績は「中の上ぐらい」。豊中市内のジャズ喫茶で、目上の旧制高校生らと文学や哲学を語り合い、幅広い評論の素地を養った。 京大教養部教授時代は学生に人気で、教室にあまり多く詰め