会社経営をはじめてから、もっぱら私服姿が多くなった。 スーツを着る機会は激減し、それこそパーティーでもなければ ネクタイをつけることさえ無くなってしまった。 家のクローゼットには、7着のスーツと2着のコート、 20本のネクタイが、淋しく掛かっている。 靴箱には、スーツ用の革靴が7足、冠婚葬祭用の革靴が 2足、これも淋しく佇んでいる。 思えば、サラリーマン時代はお洒落をするのが楽しかった。 最初にスーツを買いにいったのは20歳ぐらいの頃。 親父に連れられて近所の「洋服の青山」へ行き、 1着20,000円ぐらいの安スーツを3着ほど買ってもらった。 その頃は、スーツへのこだわりなど全く無く、ただ会社へ 行くときの制服といった程度にしか見ていなかった。 それから数年発ち、地元の食品会社へ転職することに なり、銀行で5万円ほどお金を引き出して、また青山で スーツを2着、自腹で買った。高い買い物だと思