川本くんが生まれた理由はついにわからなかったけど、死んだ理由はわかってる。皮肉なことに。何に対する皮肉なのかは、わからないけど。 孤独。漠然とした不安感。救いようのない、耐えようのないもやもやっとしたものが、川本くんの心にはあった。 なんでそんなこと僕がわかるのか、それとも決めつけることができるのかって? そりゃ、生前彼の言葉を聞いていたからさ。川本くんは言っていた。「ちゃくせき」以外にも言っていたんだよ。驚くことに。 川本くんはだいたい黙っていて、だいたいクールだった。けど、しゃべるときには、驚くほど饒舌になった。 もちろん、誰に対してもってわけじゃない。いや、誰に対してもってわけじゃないって感じさせるだけで、誰に対してもそうだったのかもしれない。 川本くんの心のなかの断絶がそうさせたのかもしれない。ほら、饒舌なときと、クール、寡黙なとき。 ときどき、同じ人間をみているとは思えないときが