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川本くんシリーズに関するTokiMakiのブックマーク (4)

  • 川本くんが死んだ理由

    くんが生まれた理由はついにわからなかったけど、死んだ理由はわかってる。皮肉なことに。何に対する皮肉なのかは、わからないけど。 孤独。漠然とした不安感。救いようのない、耐えようのないもやもやっとしたものが、川くんの心にはあった。 なんでそんなこと僕がわかるのか、それとも決めつけることができるのかって? そりゃ、生前彼の言葉を聞いていたからさ。川くんは言っていた。「ちゃくせき」以外にも言っていたんだよ。驚くことに。 川くんはだいたい黙っていて、だいたいクールだった。けど、しゃべるときには、驚くほど饒舌になった。 もちろん、誰に対してもってわけじゃない。いや、誰に対してもってわけじゃないって感じさせるだけで、誰に対してもそうだったのかもしれない。 川くんの心のなかの断絶がそうさせたのかもしれない。ほら、饒舌なときと、クール、寡黙なとき。 ときどき、同じ人間をみているとは思えないときが

    川本くんが死んだ理由
  • 川本くんが生まれた理由

    くんには生まれた理由があって、そのひとつは、母親なんだけど、その話はしないでおこうと思う。彼の母親のことをそんな風には言いたくないんだ。 それに、川くんが生まれた理由は、そういうことじゃない。川くんは、三人兄弟の末っ子で、誰からも愛されずに育った。 とにかくクラスでも浮いている存在で、何を考えているかもわからないし、そもそも何も考えていなさそうだし、 でもときおりすごく考えてるような言葉をいうので、やっぱり考えているんだろうな、という感じだった。 ある日川くんがいったことがある。 「なぁ、知ってる、人生に意味なんてないんだ」 そんなセリフを言う川くんは、今で言えば中二病なんて言われるのかも知れないけど、僕にはそうは思えなかった。 (僕は後にあのことを知ったのだし、そのときは感覚でしかなかったけど、やっぱり何か感じていたのだと思う。) 今でも覚えているのが、川くんが先生と言い争

    川本くんが生まれた理由
  • 川本くんが殴った理由

    河川敷を走る一台の三輪車。前には5歳と7歳の男児。そして、少し女の人が一人。日傘をもって歩いてる。 走るといっても、母親の歩く速度とそう対して変わらない。 二人の兄が、ときおり、かわりばんこで、三輪車を押して走る。そのときは、きゃっきゃと笑って、自分が及ばない速度を体感して喜んでいる。 秋晴れの雲ひとつない透き通った空が、4人を見下ろしている。 優しい風が、いつまでもこの時間が続きますようにと、祈りを捧げて通り抜けていく。 川面は絶え間なく秋の日差しを反射し、きらきらと輝いている。あぁ、ずっとこの時間が続けば良いのに。 「お母さん、もういくの?」幼く、高く透き通った声が母を求める。 午後2時の陽気は、永遠の幸せを一瞬に詰めて降り注いだような、暖かなものでした。 深まる夜のにおい。僕はこのにおいが好きだ。 好きだって言うと語弊があるかも知れない。でもずっとかいでいられるってことは、きっと好き

    川本くんが殴った理由
    TokiMaki
    TokiMaki 2015/12/14
     読解が難しい…。語り手に関して何らかの叙述トリックの気配。
  • 川本くんが泣いた理由

    くんが泣いた。 川くんは、僕のひとつ下の後輩で、いつもクラスにひとりぼっちだった。と聞いてる。たしかに、放課後に教室の前を通ると、一人で机に座っていることが多かった。 沈み始めるころの太陽の明かりだけが教室を照らし、電気も付けず、彼は何をしていたんだろう。皆は部活に行った。川くんは?川くんはどこに行ったんだろう。 川くんがどこに行ったのか、僕は知らない。僕はただ、川くんのいる教室の前を通って、部活にはいかず、そのままさぼってどこかに行くのが常だった。 あの日はちょうど、駅前で何もない日だった。ぼんやりと川辺から駅の方をながめ、ススキがだまって揺れるのを一人で眺める。 どこからともなくトンボがやってくると、その穂先にそっととまり、羽を下ろし、またしばらくするとどこかへ飛んでいった。 河川敷というのは不思議なところで、たまに出かけたくなるのだけど、でも、橋の下なんか通ると、いつか

    川本くんが泣いた理由
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