「食」に関する健康志向は根強く、高品質、安全へのニーズは高い。消費者のこうした考え方は生産者の安全への姿勢を促す意味でも重要だが、一部に誤解があるのも事実。行き過ぎた“オーガニック信仰”に警鐘を鳴らす専門家に話を聞いた。 「無農薬や有機栽培の農産物を求める消費者が増えています。それはそれで結構なことですが、あまりにも無農薬野菜をありがたがるあまり、一般的な農産物が“悪いもの”であるかのようなイメージを持つ人がいることは残念」と語るのは、東京農業大学の夏秋啓子教授。日本の消費者が農薬に対して持つ誤解が根底にあるようだ。 確かに有機栽培では、化学合成農薬も化学合成肥料も使わない。しかし、農薬を使って栽培した野菜が、はたして本当に危険なのだろうか。 「日本の農薬は、長期にわたる厳しい試験を経て高い安全基準をクリアしたものだけが登録され、生産者も厳格な使用基準を守って使用しています。日本で消