岡野氏は、技術的に難しくて人ができない仕事を選んでやっていく。もちろん自分にだってその製品を作った経験はない。だが、頭からできないと決めてかかることはしない。岡野氏の江戸っ子らしい意地が、ここで出てくる。 「俺がよ、みんなと違うところがひとつだけあるんだ。人が 『ダメだ、できねえ』 っていうことをやりたがる。みんながやらないことをやってきて、みんなができないことをやろうとする。あいつは変わりもんだ、誰もやりたがらないことをやるなんざ、どうかしてる。そんなことを言われても、俺にしかできねえことをやり続けてきたんだよな」