人間の死亡率は100パーセント。そして、その可能性が最も高いのは、がんになる。 わたしががんになったら、何が起こるのか。具体的な症状や療法よりもむしろ、わたし自身がどう受けとめ、家族にどんな影響を与えるのか。この小説を読みながら、嫌が応でも主人公とわたしを重ね合わせる。 重松清は初めてなのだが、上手いな、この人と思わせるのは、単純な闘病記や家族ドラマに留めなかったところ。読者へのサービス精神なのか、フィクションのチカラを利用して、殺人事件やミステリ要素を盛り込んでおり、ページを繰る手を休ませない。要所要所でグッとくる仕掛けもよくできており、伏線回収の情景もドラマチックだ。「きこえ」は悪いがエンタメ的なり。 しかし、主旋律はしっかりとしている。40歳、仕事もあれば、家庭もある男。まんま、わたしにあてはまる。レントゲン検診で「要再調査」となり、精密検査でかなり進行していることを告知される。否定
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