問題はその品格ではない。カイロ宣言(ひいてはその履行(りこう)を命じたポツダム宣言)という、第二次大戦中に3国が取り決めた領土の線引きを、冷戦も終わった21世紀の今、領土要求の根拠として持ち出したことだ。 国連の安保理常任理事国という立場にある中国が、いきなり「戦後の世界秩序」をポツダム宣言まで引き戻した驚きである。中華人民共和国の外交が同国成立前の第二次大戦まで後退したようだ。 ポツダム宣言を受諾(じゅだく)した日本は、1951年のサンフランシスコ平和条約で台湾などの領有権を放棄した。また米国が沖縄や小笠原を信託統治下に置くことを承認した。東シナ海の尖閣諸島は、この時から72年まで米国の施政権下に入った。 この時の線引きが20世紀後半から今日まで、東アジアの国際関係の基本構造となってきた。もちろん、中華人民共和国も中華民国もこの条約には署名していないから、問題は残っている。1972年の日
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