コラム −小笠原陽介− 人を助けるということのあり方 2006年10月6日 私は10代後半の頃、日本泳法の団体に参加していたことがあり、その団体はいくつかの学校の臨海合宿の指導もしていた。もちろん当時の私は見習いで、泳ぎを教わっている側だったのだが、生徒を遠泳に出す時に一緒に泳ぐなどの指導補助にも携わることがあった。 曲がりなりにも水の上での指導の一端を担うのであるから、万一を想定して、救助法の初歩くらいは教えられる。そこで最初に言われたのは「自分が陸上にいて、溺れている人を見つけた時は、自分が水に飛び込んで行ってはいけない」ということだった。もうだいぶ昔のことなので、記憶が正確でないかも知れないが、まずは周囲の人を呼び、然るべき救助手段を持つところへの連絡を頼みつつ、本人に対しては浮きになるものを投げてやり、それから救助に使えそうな棒やロープといったものを探せ、という順番だったように思う