「引退も先延ばしだな」。斉藤社長は店舗跡で復興を誓った=大船渡市大船渡町のさいとう製菓で2011年3月24日午後2時26分、宮崎隆撮影 東北を代表する土産菓子として1日25万個の売り上げを誇った「かもめの玉子」。製造元、岩手県大船渡市のさいとう製菓は、東日本大震災の津波で被害を受け、製造中止に陥った。そんな時、社長の斉藤俊明さん(69)を励ましたのが、工場に残った銘菓を受け取った被災者が見せた笑顔だった。「人を元気にするのが、お菓子だ」。復興の先陣を切ろうと動き出す。 「かもめの玉子」は魚以外にこれといった特産品がなかった街で名物を作ろうと、斉藤さんが中心になって考案し、1952年に発売を開始。60年代前半にホワイトチョコレートでまんじゅうを包んだ現在の形になった。名前はもちろん、500メートルほどの距離にある港を飛び交う鳥の名から。しかし、その海から津波はJR大船渡駅近くの商店街にある本