BBCニュースに、日本人のおっさんが出ていた。 いかにも日本の労働者階級的な風体で、焚き火にあたり、「消息不明の家族を探すために自宅のあった付近を見に来た」と語っていた。おっさんのそばには肩を落とした中年男性が2人佇んでいる。いずれも、わたしの日本の親父と同様の職業かと思われる服装。皆、同じように家族の消息がわからないのだという。 英語の字幕も出ず、同時通訳も追い付いていなかったので、連合いが「何?何してんの、このおっさんたち?」と訊く。事情を説明すると、「でも、泣いてないじゃん。なんか全然平気そう。うっすら笑ってるような顔さえしてる」と不思議そうに言う。 カメラのアングルが切り替わり、英国人リポーターが大写しになると、その背後で、画面の隅に小さくなった日本人のおっさんの1人が、ひっそりと手で目を押さえているのが見えた。 これがジャパニーズなんだよ。と言いかけてわたしはやめた。 閉じた襖の