「農業に従事して7年以上が経ちますが、ここまで苦労ばかり。やっぱり大変ですよ。農業は」 苦笑いを浮かべながらこう話すのが巨人、日本ハムなどで活躍した河野博文さん(53)。現在、群馬県高崎市で農作物の栽培委託、販売を行う異色の元プロ野球選手である。 現役時代は「北京原人に似ている」ことから“げんちゃん”の名で親しまれた。84年にドラフト1位で日本ハム入り。1年目から一軍で活躍すると、00年に引退するまでの16年間、先発、中継ぎとしてマウンドに立ち続けた。 そんな実績ある投手が農業の道に足を踏み入れたのは引退から9年後、09年のことだった。 「引退後は建設会社勤務を経て、独立リーグの群馬ダイヤモンドペガサスでコーチをやったのですが、その契約が切れた時に知人から『やらないか』と誘われて。最初は迷いましたけど、興味もあった。それで70代後半のおばあちゃんが一人でやっている群馬の玉ねぎ農家で