カンヌで話題を呼んだ『アジャミ』など、アラブ社会との対立を描く新感覚の秀作が急増中 (『アジャミ』が外国語映画賞ノミネート) タッ、タッ、タッ、タッ......。早朝のテルアビブ。まだ人影もない裁判所近くを、1人のアラブ人少年が息を切らせて走っている。貧困地区アジャミに住むオマルは、たったいま人が殺されるのを見て、命からがら逃げるところだ。 その光景はオマルの住む世界を象徴していた。目の前に裁判所があっても、正義は存在しない。パニック状態の少年は自分の運命から逃れようと必死で、ひたすら走り続ける。 オマルの脳裏に、弟の穏やかな声が響く。「目を閉じて、リラックスして」。角を曲がったところで足が滑り、オマルは歩道に激しく倒れ込む。「3つ数えたら目を開けてね。そうしたらもう、別な場所にいるよ」 だが中東で憎悪と暴力、そして抑圧という現実から逃れることはできない。麻薬取引をしくじったオマルは、よう
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