この連載は、僕がその作品をリアルタイムで観た時の印象や、当時の思い出を中心に書いている。これまでも多少の例外はあったが、今回と次回もまた例外となる。僕は『あしたのジョー2』のDVD-BOXやBlu-ray BOXで解説書の編集を担当した。その度に色々と考える事があった。年齢を重ねてから観直すと、当時気がつかなかった事に気づく。それを解説書に書こうかとも思ったのだが、明らかに個人的な見解だろうと判断して書くのを我慢した。それについて書きたい。 僕が「あしたのジョー」最終回ラストシーンがちばてつやのアイデアである事を知ったのは、最近の事だ。どちらが先だったかは覚えていないが、夏目房之介の著作か、梶原一騎の評伝のどちらかを読んでそれを知った。梶原が最終回のために書いた原作では、ラストでジョーはホセに判定負けをするが、それに対して段平が「試合では負けたが、ケンカには勝ったんだ」と言う。そして、ジョ