12 「東アジア唯一の平和国家」という表象の下での右傾化 「平和国家」という自己認識を持つ「ウヨク」または「サヨク」たちは、一致して、格差社会の惨状を嘆き、村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチに涙し、北朝鮮の核実験に対して「唯一の被爆国」としての怒りを表明し、在特会のあからさまかつ行き過ぎた言動・行動に眉をひそめる。みんな、いい人たちで、「平和」を愛する人々なのだ。「一党独裁支配」の中国や北朝鮮、ナショナリズムが「過剰」で徴兵制のある韓国、軍事的緊張化に置かれている台湾など、周辺諸国は「平和」とはほど遠い状態だ、それに比べてわが日本は・・・と彼ら・彼女らは、「戦後日本」とこれからの日本に誇りと自信を持っていることだろう。 連載の「11」で示したように、日本国家の右傾化は、こうした、日本が「東アジア唯一の平和国家」だという自己認識を持った人々による、日本国内の極右勢力との抗争プロセスを通じて