工藤均さんが通ったハローワーク浜松。職業紹介のパソコンは朝から満席で、順番待ちの番号札を持つ人もいた=浜松市中区、仙波理撮影 師走の朝に訪ねた浜松市内のハローワークは、54台ある求人検索機がすでに満席だった。やっと空いた端末で、ある男性の条件を入力する。 61歳、フルタイム、派遣、木材加工、勤務は浜松周辺――。結果は「該当する求人件数 0件」。勤務地を静岡県全体に広げて、どうにか「2件」になった。 その2社に電話してみた。 「資格や免許はない? いろんな工場を転々? そういう人が一番困るんだよ」 「老眼になると労災が怖い。体力も落ちる。正直言うと60歳超えると無理ですね」 ため息が出た。彼も、同じだったろう。 工藤均さんが自ら命を絶ったのは、汗ばむ陽気の残る10月中旬の昼すぎだった。 「もう疲れた。仕事もないし、金もない」。か細い筆跡で遺書を記し、ひとりで22年間暮らした木