※本事例は,米国の臨床現場における筆者の経験をもとに,教育的な効果を考慮しつつ,全体を再構成したものです。本文中の登場人物・施設等はすべてフィクションであり,実在のものとは関係がありません。 今回の症例は,頭痛・嘔吐・視覚異常で受診した,現在授乳中の34歳女性である。 クリス(症例提示役) 本日の症例は34歳の白人女性です。人工授精で11週間前に出産,現在授乳中の方が,4時間持続する頭痛・嘔吐と視覚異常にて来院されました。 現病歴ですが,産後特に問題なく過ごされていましたが,受診日の夕食後突然激しい頭痛が始まりました。場所は前頭部,拍動性で,痛みの強さは10段階で8,アセトアミノフェンにても改善しませんでしたが,暗い部屋に行くと痛みは軽減しました。同時に左目の視野に光が波うつようなものが現れてよく見えない状態が3時間持続しました。軽い嘔気もあり2回嘔吐しましたが,内容は食物残渣のみで血液は